ウエディング・・? #04
こちらは4話目になります。
最初は以下からどうぞ。
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2人の正面にスタイリストが座り、今回のアルバムソングのイメージに合わせたドレスとタキシード候補がいくつか載ったカタログを広げた。
恵美と近江が覗きながら、気に入る物を絞っていく。
(一緒にドレス選ぶなんて、本当に結婚式の準備をしてるみたいで頭沸騰する……っ!というか、近江さんから凄く凄くいい匂いするし……やばい)
仕事なのだから集中しなければ、と考えてはいても、肩が触れ合う程の距離にドギマギとして恵美は中々集中する事ができていない。
「なんかシンプルなドレスが多いんだね。恵美ちゃんは気になる物あった?」
「っ、ひぇっ」
変な返事を笑われ、顔に熱が上るのを感じながらも、いくつか指をさす。
恵美の選んだ物はどれもAラインで、柔らかで上品な刺繍がスカートに施されており、総レースのトレーンが綺麗な物だ。
「恵美ちゃんが選んだやつ、全部可愛いね。それなら、俺のはこの辺とかどう?」
「そうですね、いいと思います。他の候補なら、東条さんが選んだ物の中でもこちらとこちらは、色味が少し柔らかなアイボリーなので、近江さんのタキシードもこちらの少し似せた色味にするか、このグレーとかもよさそうですね」
スタイリストが近江の指した物以外にも候補を指差した。
その候補の全てを試着してみるとの事で、店員へ頼みフィッティングルームの用意をしてもらう。
その間に喉を潤しながら心を落ち着かせようとしていた恵美に少し向き直って、近江がゆっくりと口を開いた。
「ずっと緊張されすぎても撮影の時困っちゃうだろうし、もう少し俺に慣れて欲しいんだけど、どうしたらいいかな?」
「あっ、そう、ですね……。すみません。頑張ります……」
俯き気味に謝罪をすると、近江が優しく「顔を上げて」と言う。
恐る恐る言われた通り顔をあげると、優し気な表情を浮かべた近江が恵美を見つめており、視線が合った瞬間恥ずかしくなって再び下を向いてしまった。
「だめだよ。俺の目、見てて」
その大きな手で恵美の頬を優しく撫で、少し顎を持ち上げ、顔を上げさせる。
驚きすぎて今にも泣きだしそうな恵美の瞳が近江を捉えると、近江は少し驚いた表情を浮かべ、困ったような照れたような表情を浮かべた。
「実はね、俺も恥ずかしくて、少し緊張してるんだよ?とりあえず、試着の準備ができるまで、こうして頑張ってみようか」
「ひゃいっ」
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